2012年12月21日金曜日

快快 (FAIFAI)『Y時のはなし・イン・児童館』【予告編】

下書きのまま放置されていたのを今さらですがアップします。
アーティスト・イン・児童館の快快プロジェクトの映像を作りました。
私も子ども達との8mm映画を作るワークショップや、学童保育で働いていたので感じる事、思い出した事、「Y時のはなし」が自分の体験としてありました。



小学校に併設されている学童保育、BOPで2年ほど働いていました。
放課後、親が迎えにくるまで遊び相手になったり怪我をしないように見守ります。
私は小学生くらいの背丈なので子どもが入っちゃ行けないところにいると、他の学童の先生に子どもに間違われてよく怒られました。
子どもと付き合っていくうちに今の経験が人格形成に大きな影響がある、立派な子にしてあげたい!と、「教育」というものを考えすぎて、しかりすぎてしまったり、少しの事でもきつく怒ったり、というか私がこんな教育の現場にいていいのか?と、子ども達への対応で自分が見えてくることが多々ありました。

そこで、一番忘れられない、忘れることのない子がいます。「Y時のはなし」のような。
あると君という小学2年生の男の子。周りの子に比べると体が大きくて、色白でちょっと髪が長くて刃がかわいい、かっこいい男の子だった。いつもはニコニコしてるけどすぐに機嫌が悪くなって暴れたり、元気がありあまっている。ちょっと怒るとパンチしたり突き飛ばしたりするんだけれども、小さい私には受けとめきれない時もあって、どう付き合っていけばいいのか、なかなか手の焼く子でした。
彼は特定の誰かとずっと一緒に遊ぶというよりは、ふらふらっと来て遊び相手をみつけてそこに入ったり、自分がやりたい事を誘ってきて、一緒に遊んだりという感じでした。
私が女の子と遊んでるとするっと入ってきて、つまらなくなると私に一緒にあれで遊ぼう!って言い出す、すると女の子はこっちが先だったの!と言いあう、彼にもう少しまっててね、と言うと、だだこねて怒りだす。たまに怒りがなかなかおさまらなくてどうしようもなくなったりする。
その時の私は男の先生と同じことが出来るようにしなくちゃいけないって思っていて、男の先生と同じようにぐるぐる回してあげたり、全速力で鬼ごっこに、サッカーに、気力だけで走って。だから、彼も男の子の遊びが一緒に出来て嬉しかったのかもしれない。
大概、女の子達にゆみちゃんこれやろうって誘われて一緒に遊んで、そうすると彼は他の事がしたいから、あっちに行こうって言い出す、それで子ども達で揉めだして、やいやいの。それをおさめるのがまあ一苦労。
今思うと、彼は2人だけで遊びたがる事が多かった気がする。
独り占めしたい、自分だけをみて、自分だけの言う事に耳を傾けて欲しかったのかな。
でも、仕事だから1人だけを相手にしていられない、なるべく皆で遊びように子ども達をまとめたり、怪我をしないように色んなグループを見て回ったりしなきゃいけないから、そんなんで彼に悲しい思いをさせてしまう時もあった。

ある時、急に彼が「来週、僕のうちに遊びにきてよ!」って言いだした。こんな末端の学童のスタッフが個人的に特定の児童と仲良くするのもよくないだろう、彼の親も知らないし、それは難しいなーと思って、「うーん、来週は無理だから今度ね」と何気なく返事をしたら、「えーきてよーおねがいー」って繰り返すので、なんでだろうと思っていたら、
2週間後に彼は転校していた。親の離婚だった。
あの時はいつもの独り占めしたい気持ちでただ遊びにきてって、言っているだけだと思った。だって、引っ越すなんて一言も言っていなかったから。

何だよ、言えよばかって思ったよ。
最後に、自分の家に来て欲しかったのかな。暮らしていた自分の家に、いなくなってしまう前に、私に見せたいと思ってくれたのかもしれない。
どうして子どもって、こんなにけなげで、さみしがりやで、つよがりなんだろう。
言ってしまったら、私がさみしいって言うから。親の都合で自分の居場所が変わる事を認められなかったのかもしれない。口にしない事が、彼の小さな抵抗だったのかもしれない。言葉にしたら、いなくなることを実感してしまう。


私に「さよなら」って言わなかった彼、本能的にそうしたんだと思った。
小学二年生の男の子の本能が言わせなかった。

なんてかっこいい男なんだろう。